体調に合わせた組合せ
「薬膳」という言葉を聞いて、どんなイメージを想像しますか?
「薬」と言う言葉が入っているが故に、漢方薬や薬草などの食材で作られた料理を思い浮かべると思いますが、それは薬膳の一面にしかすぎません。
「薬膳」とは、中国伝統医学(中医学)の考え方に沿った、体調に合わせて食材を組み合わせた料理のことです。漢方薬などを使っていなくても、中医学の考え方に沿っていれば、薬膳と呼ぶことができます。毎日何気なく食べている食材も、薬のように効能を持つと考え、食材は薬にもなる「薬食同源」と言えます。ただし薬膳食材を使っていても、ただの飾りとして使っただけでは、「薬膳」とは言えません。
「西洋医学」と「中医学」の違い
中医学では、人が病気になる原因は人の身体の中にあると考え、体質を改善していくアプローチを考えます。体質が変わっていくことで、病気以外の不調の改善も期待できるのです。
「西洋医学」と「中医学」の最も大きな違いは病気や体のとらえ方にあり、西洋医学が「局所治療」を軸とするのに対し、中医学は「体全体のバランスを整える」ことを軸とします。また、人の体質によってそれぞれ治療方法も変わってくる事も、大きな特徴です。
簡単に言えば、
- 「西洋医学」は「病気を診る」
- 「中医学」は「人を診る」
薬膳と栄養学とは、概念が違う
普段の食事から栄養を摂るのはもちろんですが、食材の1つ1つの特性や効能を生かし、個々の体質に合わせて食材を選び、美味しく調理し、体質の改善や強化、病気の予防などの目的を果たします。
からだ全体を一つのシステムと考える
本来、人の身体は少しのバランスの崩れであれば回復する力を持っていますが、その力が足りない場合は「未病」(体調不良)となり、さらに進めば「病気」になります。
未病、病気を正常に戻す為に、何が不足しているのか、何が過剰なのか、またその流れはどうかを見極め、臓腑の機能状態を把握します。その後、まずは食事でこれを治すようにし、食事で治療できない場合は、その他の方法を使って治療していきます。
「中医学」の考え方はいたってシンプルです。
- 足りないものは補う。
- 過剰であれば減らす。
- 熱があれば、冷ます。
- 冷えていたら、温める。
- 滞っていたら流す。
食事や睡眠、環境の変化やストレスなどの日常生活の不摂生によって、体は少しずつバランスを崩していきます。「中医学」では、バランスを取り戻せる時期に、正常化の努力をすることで大きな病気にならないよう、予防と養生を重視しています。
「人の健康は、食事で作られる」という考えに則り、「誰が、何を、何のために、どのようにして食べるのか?」を重視し、「満腹感を得るための食事」から「健康でよりよい生活を得るための食事」これが「薬膳」なのです。